週刊少年ジャンプの歴代看板作品をまとめてみた

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ジャンプマンガの歴史を私なりに整理してみます。

マンガ雑誌 ( マンガアプリ ) には「看板」「柱」があると思います。

勝手に定義してみました。

  • 看板作品:常に1作は掲げられる 豊作時期は2枚看板・3枚看板…と増えていく
  • 柱作品:看板を支えるヒット作の群 柱が多いほど雑誌として強くなる
マンガ雑誌における看板作品について説明したイメージ図

こんなイメージです。マンガ雑誌という店の看板 と、 店を支える柱という構図です。

看板作品になるには、次の2条件があると思います。

  • 必要条件:編集部プッシュ
  • 十分条件:読者に看板作品として認められること

具体例でファンの方には申し訳ないんですが、編集部にプッシュされたのに読者に認められなかった分かりやすい例がトリコですね。

編集部プッシュ読者人気、両方揃って看板作品として名を残せるのだと思います。

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目次

週刊少年ジャンプについて

講談社・小学館・集英社3大出版社と呼ばれていますが、実は集英社は元々小学館から分離して創業しており、同じ一ツ橋グループという括りです。ちなみに講談社は音羽グループです。

この3社はそれぞれ週刊少年誌を刊行しており ジャンプ ( 集英社 )マガジン ( 講談社 )サンデー ( 小学館 ) は50年以上シェアを争っています。

  • その中でジャンプは1968年創刊で最も後発ですが、皆さんご存じの通りマンガ業界をリードするトップ誌です。
  • その人気の秘訣は何といっても看板作品のけん引力です。「あのマンガ目当てでジャンプを買う」「終わっちゃったけど次はこのマンガが面白い」。そうして看板作品のサイクルを回しています。

~70年代:創刊当初は看板に恵まれず

1970年代のイメージ図 ( 70と書かれた速度標識 )

創刊当初の10年ほどは看板に恵まれない不作の時期でした。

その中で唯一、創刊直後に連載開始した「男一匹ガキ大将」は看板として誌面を支えました。

【70年代の看板マンガ】

  • 70年代序盤:男一匹ガキ大将
  •  〃 中盤以降:ヒット作多数も看板作品は無し

1. 男一匹ガキ大将 ( 本宮ひろ志 ) : 1968 ~ 1973年 / 全20巻

男一匹ガキ大将は読者・編集部ともに認める看板として黎明期のジャンプを他誌に負けない・勝てる雑誌に引き上げた大功労作品です。

惜しむらくは、引き延ばしによって物語終盤のクオリティが下がってしまったこと。この頃から、そういう流れがあったんですね。

それでも編集部の期待は変わらず、以降も本宮ひろ志は新連載の度に大々的にプッシュされます。しかし、とうとう次の看板を生み出せないまま青年誌へ移籍してしまいます。

80年代:4枚看板で他誌を引き離す

1980年代のイメージ図 ( レンガの壁に80と書かれたパネル )

「男一匹ガキ大将」以降、看板が定着しないジャンプでしたが「Dr.スランプ」が連載間もなく看板に収まります。

前後に開始した「キン肉マン」と「キャプテン翼」も徐々に人気を上げていき、さらには「北斗の拳」も連載開始して4枚看板を形成します。

その後「Dr.スランプ」が連載終了してしまうも、入れ替わりで始まった「DRAGON BALL」が後枠に収まり4枚看板は継続。

しばらく安泰のジャンプでしたが、80年代終盤には「DRAGON BALL」以外の看板が立て続けに終了し、以降しばらく1枚看板となってしまいます。

【1980年代の看板マンガ】

  • 80年代序盤:Dr.スランプ
  •  〃 中盤:北斗の拳 / キン肉マン / キャプテン翼 / DRAGON BALL
  •  〃 終盤:DRAGON BALL

1. キン肉マン ( ゆでたまご ) : 1979 ~ 1987年 / 全37巻

この頃のジャンプは、ハレンチ学園やど根性ガエルのヒットを追ったギャグ路線が顕著でした。

キン肉マンも元々はギャグマンガでしたが、人気に火が付いたのはバトル路線になってからでした。テコ入れでバトルものになっていくマンガは数多いですが、その先駆けがキン肉マンと言えます。

キャラクターを模した消しゴムである「キン消し」は社会現象になりました。

2. Dr.スランプ ( 鳥山明 ) : 1980 ~ 1984年 / 全18巻

Dr.スランプは連載直後に一気に人気が出て、すぐにアニメになりました。

そのアニメがジャンプアニメ史上最高の視聴率36.9%を記録する大ヒットで、それに引っ張られるように単行本も第6巻にして初版220万部を達成。

少年マンガ誌掲載ながら、老若男女に受け入れられた国民的作品と言えるのではないでしょうか。

3. キャプテン翼 ( 高橋陽一 ) : 1981 ~1988年 / 全37巻

マンガがきっかけでその競技に興味を持つというのは、よくある話です。

ジャンプきっかけでバスケを始めた、テニスを始めた、囲碁を始めた… 色んな分野に貢献しています。

その一番最初が「キャプテン翼を読んでサッカーを始めた」ではないでしょうか。

日本のみならず海外スター選手もキャプテン翼を読んでサッカーを始めたという人が多いと聞きます。とてつもない影響力です。

4. 北斗の拳 ( 原作:武論尊 / 作画:原哲夫 ) : 1983 ~ 1988年 / 全27巻

看板を張っていた時期はキン肉マンとキャプテン翼と重なりますが、その看板の中でも北斗の拳こそが「大看板」でした。それほどの絶大な人気を、今なお誇る作品です。

キン消しやアニメ、サッカーブームといった後押しなしに、一気に看板になりました。

ジャンプのバトルマンガというジャンルを切り開いた作品でもあります。

5. DRAGON BALL ( 鳥山明 ) : 1984 ~ 1995年 / 全42巻

Dr.スランプを連載終了する交換条件として連載開始した本作。

連載初期は「アクションもある冒険版Dr.スランプ」という感じのノリでしたが、バトルものへと徐々に移行していくにつれて人気が高まっていきました。

おそらく鳥山明の本来のノリはDr.スランプの雰囲気で、本当はそちらが描きたかったのだと思います。それなのにバトルものも面白いというのが末恐ろしいです。

90年代:黄金時代の到来

1990年代のイメージ図 ( コルクのフタに90と書いてある )

しばらく「DRAGON BALL」でもっていたジャンプでしたが、「SLAM DUNK」と「幽☆遊☆白書」が育って黄金時代に入ります。

この頃の「DRAGON BALL」は既に超長期連載で、ピッコロ編終了時に連載終了させてもらえず1度目の引き延ばしに入っていました。

その後のフリーザ編・セル編の頃には「SLAM DUNK」と「幽☆遊☆白書」も育ってましたが、それでも連載終了させてもらえず。

1995年に魔人ブウ編でようやく完結させてもらえますが、一緒に看板を張っていた「SLAM DUNK」と「幽☆遊☆白書」もほぼ同時に終了してしまうのでした。

その後は「るろうに剣心」が繰り上げ当選の形で看板を引き継ぎ、後に「ONE PIECE」・「HUNTER×HUNTER」・「NARUTO」にバトンをつなぎます。

【1990年代の看板マンガ】

  • 90年代前半:DRAGON BALL / SLAM DUNK / 幽☆遊☆白書
  •  〃 後半:るろうに剣心 の1枚看板の後に ONE PIECE / HUNTER×HUNTER / NARUTO

1. SLAM DUNK ( 井上雄彦 ) : 1990 ~ 1996年 / 全31巻

北斗の拳を境に、ジャンプの作品はバトルマンガしか看板を張れなくなってしまいました。

その流れを唯一打ち破ったのがスラムダンクです。

  • オールカラーを飾った号がジャンプ歴代最高部数653万部を達成
  • 最終回で雑誌表紙を飾る ( スラムダンク以外ではこち亀のみ )

人気絶頂のうちに連載終了した伝説の作品です。

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2. 幽☆遊☆白書 ( 冨樫義博 ) : 1990 ~ 1994年 / 全19巻

ドラゴンボール・スラムダンクとともにジャンプ黄金期を築いた3枚看板のひとつ。

ジャンプらしいバトルマンガでありつつ、どこかもの悲しい雰囲気がエモいマンガだと思います。

特に主人公と共闘する妖怪である蔵馬と飛影の人気 ( 特に女性人気 ) がすごく、ジャンプの女性読者を増やしました。

. るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- ( 和月信宏 ) : 1994 ~ 1999年 / 全28巻

北斗の拳・ドラゴンボールからジャンプの大看板を引き継ぎ、後にワンピースへ引き渡した作品です。

前後の作品がすごすぎるため「つなぎの看板作品」感がありますが、黄金期の3枚看板が立て続けに終了した時期のジャンプを支えました。

連載終了後に長いブランクを経て発表された実写映画がヒットし、続編の北海道編も開始するなど、その後の展開も活発です。

4. ONE PIECE ( 尾田栄一郎 ) : 1997年 ~ 連載中

ジャンプの大看板を四半世紀ほど張り続ける化物作品。ワンピースを境にジャンプ人気作の長期連載化が一層目立つようになっていきます。

この作品がすごいのは60巻にして物語と人気のピークを持ってきたこと。100巻を超えた最近はクライマックスが徐々に近づいており、またもう一段のピークも控えているとのことです。

ワンピース終了後、次に大看板を受け継ぐのがどの作品なのかも楽しみです。

5. HUNTER×HUNTER ( 冨樫義博 ) : 1998 ~ 2018年(休載中)

ワンピースと同時期に始まった今作ですが、色んな意味で対照的です。

HUNTER×HUNTERONE PIECE
ジャンル邪道・ダークファンタジー王道・冒険活劇
連載度重なる長期休載で依然37巻長期休載なく100巻超え

共通点は、当然ながら作品の面白さですね。

休載という機会損失さえなければもっとハネている作品だと思います。そもそも、休載だらけでここまでハネているのがすごいのですが。

6. NARUTO -ナルト- ( 岸本斉史 ) : 1999 ~ 2014年 / 全72巻

ワンピースと並んで15年看板を張り続けました。

国内人気もさることながら海外人気がすごく、ドラゴンボールに次いで世界で売れているマンガです。

忍者という題材のキャッチ―さは海外読者の気を引きやすいでしょうが、その人気の裏付けは地に足ついたマンガの面白さにこそあると思います。

全72巻という長尺ですが、忍者の里ひしめく独特の世界観を描き切りました。

00年代:大凶作が10年以上続く

2000年代のイメージ図 ( ルーレットの00に球が入っている )

00年代に開始した看板作品は「BLEACH」のみ。しかも連載途中からは人気が落ちてしまい、連載終盤は看板とは言えない状態でした。

ではどの作品がジャンプの顔だったのかというと、結局「ONE PIECE」と「NARUTO」がこの年代も看板であり続けました。

この両作品が盤石であったため、「BLEACH」のトーンダウン「HUNTER×HUNTER」の休載カバーできてしまったのです。

その裏目となったのが長期連載化によるマンネリでした。新連載陣は現看板陣のフタを突き破れず、ジャンプの新陳代謝が悪い時代でした。

【00年代の看板マンガ】

  • 00年代前半:ONE PIECE / HUNTER×HUNTER / NARUTO / BLEACH
  •  〃 後半:ONE PIECE / NARUTO / BLEACH ( + HUNTER×HUNTER )

1. BLEACH ( 久保帯人 ) : 2001 ~ 2016年 / 全74巻

ワンピース・ナルトとともに00年代ジャンプの3枚看板を張りました。

惜しむらくはブリーチのみ終盤人気が落ちてしまい、途中から看板ではなくなってしまったことです。

とはいえ尸魂界篇の頃は絶大な人気で、後の看板作品 ( = 鬼滅・呪術 ) に与えた影響も大きい偉大な作品のひとつです。

10年代:ONE PIECEを突き破っての新看板

2010年代のイメージ図 ( ビリヤードの10がアップになっている )

10年代 「ONE PIECE」と「NARUTO」 による2枚看板が続きます。

しかし、いくら長期連載とはいえいずれは終わりが来るわけで、「NARUTO」が2014年に連載終了します。

その後も長い間「ONE PIECE」が1枚看板で頑張るのですが、2019年に「鬼滅の刃」のアニメが大ヒット。一気に「ONE PIECE」を追い抜きます。

このとき「鬼滅の刃」は既に連載終盤だったため、看板として連載できた期間はわずかでしたが、「BLEACH」以来長年のマンネリを打破しました。

その後、「呪術廻戦」も同じくアニメを端に看板へ名乗りを上げます。

【10年代の看板マンガ】

  • 10年代序盤:ONE PIECE / NARUTO ( + HUNTER×HUNTER )
  •  〃 中盤:ONE PIECE ( + HUNTER×HUNTER )
  •  〃 終盤:ONE PIECE / 鬼滅の刃 / 呪術廻戦 ( + HUNTER×HUNTER )

1. 鬼滅の刃 ( 吾峠呼世晴 ) : 2016 ~ 2020年 / 全23巻

アニメをきっかけに人気が爆発し、ワンピースを一気に追い抜いてスパッと完結してしまった作品。

今もアニメが続いていて売上が伸び続けている、現在進行中のレジェンド作品です。

看板作品の長期連載化によってフタがされたジャンプにおいて、風穴を開けて看板に上り詰めました。

遅咲きで人気になった作品のため、看板として連載された期間が短かったのが惜しいところ。

2. 呪術廻戦 ( 芥見下々 ) : 2018年 ~ 連載中

鬼滅が開けた風穴を通って、同じくアニメでハネた最新の看板作

鬼滅と同じダークファンタジーなのですが、このジャンルが最近のトレンドです。

ブリーチ以降久しぶりのジャンプ看板である鬼滅・呪術が、ジャンプ停滞時に他誌で人気を博したハガレン・進撃同じジャンルというのが面白いですね。

男一匹ガキ大将 から 鬼滅 / 呪術 までの年表

それぞれの連載時期をまとめてみました。

週刊少年ジャンプの歴代看板作品がいつ連載されていたかをまとめた図:男一匹ガキ大将から始まり呪術廻戦で終わる

複数看板を掲げている強い時期と、看板が足らず弱い時期がよく分かります。

看板作品のプロデュースはそれだけ難しいんですね。

特に00年代は看板作品が変わり映えしませんでしたが、本来はこれらの作品に看板を引き継ぎたかったと思われます。

  • DEATH NOTE ( 2003 ~ 2006年 ) :読者人気は十分でしたが、題材的に編集部側が推しきれず
  • トリコ ( 2008 ~ 2016年 ) :編集部は激推しだったが、読者人気が追い付かず

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こちらは月刊アフタヌーンの看板作品をまとめた記事です。

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今後も長く愛され続ける看板作品が出てくることを期待しましょう。

以上です!

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