小学館漫画賞&講談社漫画賞をダブル受賞した作品をまとめてみた

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小学館漫画賞現存する国内最古の漫画賞ですが、その内訳を確認すると集英社のマンガも多数受賞しているんですよね。

実はそれもそのはずで、元々集英社は小学館から分離して創業したという歴史を持ちます。

両社を中核としたグループは一ツ橋グループと呼ばれていて、講談社を中核とした音羽グループとは競合関係にあります。

一ツ橋グループと音羽グループの競合構造図

両グループとも自社を冠した漫画賞を設立しており、お互い競合先のマンガは受賞しにくいとされています。

にもかかわらず、グループの壁を越えて競合先のマンガが受賞することがたまにあります。

この記事では、小学館漫画賞を受賞した他社作講談社漫画賞を受賞した他社作をまとめて、最後にダブル受賞作をまとめたいと思います。

目次

小学館漫画賞を受賞した他社作

小学館のイメージ図 ( 机に置かれたランドセル )

一ツ橋グループ ( 小学館・集英社・白泉社 ) 以外の出版社の作品が小学館漫画賞を受賞した例を時系列で整理しました。 ( 2024年最新情報です )

一番の競合先である 音羽グループ ( 講談社・光文社 ) 赤字 にしています。

第5回 ( 1959年 )
フイチンさん ( 上田としこ ) / 掲載誌:少女クラブ ( 講談社 )
第8回 ( 1962年 )
てぶくろてっちゃん ( 藤子不二雄 ) / 掲載誌:たのしい一年生 ( 講談社 ) など
第9回 ( 1963年 )
ストップ!にいちゃん ( 関谷ひさし ) / 掲載誌:少年 ( 光文社 )
第13回 ( 1967年 )
ジュン ( 石ノ森章太郎 ) / 掲載誌:COM ( 虫プロ商事 )
第23回 ( 1977年 )
少年少女部門
銀河鉄道999 ( 松本零士 ) / 掲載誌:週刊少年キング ( 少年画報社 )
第25回 ( 1979年 )
青年一般部門
土佐の一本釣り ( 青柳裕介 ) / 掲載誌:月刊マンガ少年 ( 朝日ソノラマ )
第26回 ( 1980年 )
青年一般部門
博多っ子純情 ( 長谷川法世 ) / 掲載誌:漫画アクション ( 双葉社 )
じゃりン子チエ ( はるき悦巳 ) / 掲載誌:漫画アクション ( 双葉社 )
第36回 ( 1990年 )
少女部門
王家の紋章 ( 細川智栄子あんど芙〜みん ) / 掲載誌:月刊プリンセス ( 秋田書店 )

同時受賞:はじめちゃんが一番! ( 渡辺多恵子 ) / 掲載誌:別冊少女コミック ( 小学館 )

第38回 ( 1992年 )
青年一般部門
宮本から君へ ( 新井英樹 ) / 掲載誌:モーニング ( 講談社 )

同時受賞:おかみさん 新米内儀相撲部屋奮闘記 ( 一丸 ) / 掲載誌:ビッグコミックオリジナル ( 小学館 )

第43回 ( 1997年 )
児童部門
忍ペンまん丸 ( いがらしみきお ) / 掲載誌:月刊少年ガンガン ( スクウェア・エニックス )
第49回 ( 2003年 )
少年部門
鋼の錬金術師 ( 荒川弘 ) / 掲載誌:月刊少年ガンガン ( スクウェア・エニックス )

同時受賞:焼きたて!!ジャぱん ( 橋口たかし ) / 掲載誌:週刊少年サンデー ( 小学館 )

第50回 ( 2004年 )
児童部門
ケロロ軍曹 ( 吉崎観音 ) / 掲載誌:月刊少年エース ( 角川書店 )

同時受賞:絶体絶命でんぢゃらすじーさん ( 曽山一寿 ) / 掲載誌:月刊コロコロコミック ( 小学館 )

第53回 ( 2007年 )
少年向け部門
ダイヤのA ( 寺嶋裕二 ) / 掲載誌:週刊少年マガジン ( 講談社 )
第56回 ( 2010年 )
青年向け部門
宇宙兄弟 ( 小山宙哉 ) / 掲載誌:モーニング ( 講談社 )

同時受賞:闇金ウシジマくん ( 真鍋昌平 ) / 掲載誌:ビッグコミックスピリッツ ( 小学館 )

第65回 ( 2019年 )
少女向け部門
凪のお暇 ( コナリミサト ) / 掲載誌:Eleganceイブ ( 秋田書店 )
第66回 ( 2020年 )
一般向け部門
ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜 ( 泰三子 ) / 掲載誌:モーニング ( 講談社 )

同時受賞:デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション ( 浅野いにお ) / 掲載誌:ビッグコミックスピリッツ ( 小学館 )

第68回 ( 2022年 )
一般向け部門
メダリスト ( つるまいかだ ) / 掲載誌:月刊アフタヌーン ( 講談社 )

以上の18作品が他社作というハンデを覆して受賞した面々です。

その年の同部門で小学館作品が同時受賞しているかどうかに注目してみます。

  • 小学館作品同時受賞あり:あえて他社作も追加選出しているのはそれだけその作品を評価している?
    ⇒ 仮に「評価作」と呼びます
  •     〃    なし:小学館作品が不作な年なので他社作受賞のハードルが下がっている?
    ⇒ 仮に「スキマ作」と呼びます

それでは、小学館漫画賞を受賞した他社作18作品「評価作」「スキマ作」に分けてみます。赤字音羽グループ ( 講談社・光文社 ) です。

  • 「評価作」
    • 王家の紋章 / 宮本から君へ / 鋼の錬金術師 / ケロロ軍曹 / 宇宙兄弟 / ハコヅメ~交番女子の逆襲~
  • 「スキマ作」
    • フイチンさん / てぶくろてっちゃん / ストップ!にいちゃん / ジュン / 銀河鉄道999 / 土佐の一本釣り / 博多っ子純情 / じゃりン子チエ / 忍ペンまん丸 / ダイヤのA / 凪のお暇 / メダリスト

大半は「スキマ作」で、「評価作」の方が作品が少なくなりました。

講談社漫画賞を受賞した他社作

講談社のイメージ図 ( ライトアップされた歌舞伎座 )

音羽グループ ( 講談社・光文社 ) 以外の出版社の作品が講談社漫画賞を受賞した例を時系列で整理しました。 ( 2024年最新情報です )

一番の競合先である 一ツ橋グループ ( 小学館・集英社・白泉社 ) 赤字 にしています。

第1回 ( 1977年 )
少年部門
ブラック・ジャック ( 手塚治虫 ) / 掲載誌:週刊少年チャンピオン ( 秋田書店 )

同時受賞:三つ目がとおる ( 手塚治虫 ) / 掲載誌:週刊少年マガジン ( 講談社 )

第3回 ( 1979年 )
少女部門
綿の国星 ( 大島弓子 ) / 掲載誌:LaLa ( 白泉社 )
第6回 ( 1982年 )
少年部門
岳人列伝 ( 村上もとか ) / 掲載誌:少年ビッグコミック ( 小学館 )
第7回 ( 1983年 )
少女部門
日出処の天子 ( 山岸凉子 ) / 掲載誌:LaLa ( 白泉社 )
第10回 ( 1986年 )
少女部門
有閑倶楽部 ( 一条ゆかり ) / 掲載誌:りぼん ( 集英社 )

【一般部門】
アドルフに告ぐ ( 手塚治虫 ) / 掲載誌:週刊文春 ( 文藝春秋 )
第12回 ( 1988年 )
少女部門
純情クレイジーフルーツ ( 松苗あけみ ) / 掲載誌:ぶ~け ( 集英社 )

一般部門
ぼのぼの ( いがらしみきお ) / 掲載誌:まんがライフ ( 竹書房 )

一般部門 同時受賞:ビー・バップ・ハイスクール ( きうちかずひろ ) / 掲載誌:週刊ヤングマガジン ( 講談社 )

第13回 ( 1989年 )
少女部門
ちびまる子ちゃん ( さくらももこ ) / 掲載誌:りぼん ( 集英社 )

同時受賞:白鳥麗子でございます! ( 鈴木由美子 ) / 掲載誌:mimi ( 講談社 )

第15回 ( 1991年 )
少女部門
永遠の野原 ( 逢坂みえこ ) / 掲載誌:ぶ~け ( 集英社 )
第16回 ( 1992年 )
少年部門
うちのママが言うことには ( 岩館真理子 ) / 掲載誌:ヤングユー ( 集英社 )
第20回 ( 1996年 )
少女部門
天然コケッコー ( くらもちふさこ ) / 掲載誌:コーラス ( 集英社 )
第21回 ( 1997年 )
少女部門
八雲立つ ( 樹なつみ ) / 掲載誌:花とゆめ ( 白泉社 )
第22回 ( 1998年 )
少女部門
こどものおもちゃ ( 小花美穂 ) / 掲載誌:りぼん ( 集英社 )
第25回 ( 2001年 )
少女部門
フルーツバスケット ( 高屋奈月 ) / 掲載誌:花とゆめ ( 白泉社 )

一般部門
20世紀少年 ( 浦沢直樹 ) / 掲載誌:ビッグコミックスピリッツ ( 小学館 )
第26回 ( 2002年 )
少女部門
西洋骨董洋菓子店 ( よしながふみ ) / 掲載誌:Wings ( 新書館 )
第27回 ( 2003年 )
児童部門
ミルモでポン! ( 篠塚ひろむ ) / 掲載誌:ちゃお ( 小学館 )

少女部門
ハチミツとクローバー ( 羽海野チカ ) / 掲載誌:ヤングユー ( 集英社 )
第32回 ( 2008年 )
少年部門
最強!都立あおい坂高校野球部 ( 田中モトユキ ) / 掲載誌:週刊少年サンデー ( 小学館 )

少女部門
君に届け ( 椎名軽穂 ) / 掲載誌:別冊マーガレット ( 集英社 )
第33回 ( 2009年 )
少女部門
潔く柔く ( いくえみ綾 ) / 掲載誌:月刊Cookie ( 集英社 )
第34回 ( 2010年 )
児童部門
イナズマイレブン ( やぶのてんや ) / 掲載誌:月刊コロコロコミック ( 小学館 )
第35回 ( 2011年 )
一般部門
3月のライオン ( 羽海野チカ ) / 掲載誌:ヤングアニマル ( 白泉社 )

同時受賞:宇宙兄弟 ( 小山宙哉 ) / 掲載誌:モーニング ( 講談社 )

第36回 ( 2012年 )
少女部門
失恋ショコラティエ ( 水城せとな ) / 掲載誌:月刊フラワーズ ( 小学館 )
第37回 ( 2013年 )
少女部門
俺物語!! ( 原作:河原和音 / 作画:アルコ ) / 掲載誌:別冊マーガレット ( 集英社 )
第38回 ( 2014年 )
児童部門
妖怪ウォッチ ( 小西紀行 ) / 掲載誌:月刊コロコロコミック ( 小学館 )
第39回 ( 2015年 )
少年部門
弱虫ペダル ( 渡辺航 ) / 掲載誌:週刊少年チャンピオン ( 秋田書店 )

同時受賞:七つの大罪 ( 鈴木央 ) / 掲載誌:週刊少年マガジン ( 講談社 )

第42回 ( 2018年 )
少年部門
BEASTARS ( 板垣巴留 ) / 掲載誌:週刊少年チャンピオン ( 秋田書店 )

以上の29作品が他社作というハンデを覆して受賞した面々です。

他社作受賞数は先ほど挙げた小学館漫画賞 ( 18作 ) よりも講談社漫画賞 ( 29作 ) の方が多いです。しかも、競合している一ツ橋グループからバンバン受賞しています。 ( 特に少女部門で )

その年の同部門で講談社作品が同時受賞しているかどうかに注目してみます。

  • 講談社作品同時受賞あり:あえて他社作も追加選出しているのはそれだけその作品を評価している?
    「評価作」と呼ぶことにします
  •     〃    なし:講談社作品が不作な年なので他社作受賞のハードルが下がっている?
    「スキマ作」と呼ぶことにします

それでは、講談社漫画賞を受賞した他社作29作品「評価作」「スキマ作」に分けてみます。赤字一ツ橋グループ ( 小学館・集英社・白泉社 ) です。

  • 「評価作」
    • ブラック・ジャック / アドルフに告ぐ / ぼのぼの / ちびまる子ちゃん / ハチミツとクローバー / 3月のライオン / 弱虫ペダル
  • 「スキマ作」
    • 綿の国星 / 岳人列伝 / 日出処の天子 / 有閑倶楽部 / 純情クレイジーフルーツ / 永遠の野原 / うちのママが言うことには / 天然コケッコー / 八雲立つ / こどものおもちゃ / フルーツバスケット / 20世紀少年 / 西洋骨董洋菓子店 / ミルモでポン! / 最強!都立あおい坂高校野球部 / 君に届け / 潔く柔く / イナズマイレブン / 失恋ショコラティエ / 俺物語!! / 妖怪ウォッチ / BEASTARS
  • 大半は「スキマ作」で、「評価作」の方が作品が少なくなりました。小学館漫画賞と同じ傾向です。
  • 特に「スキマ作」一ツ橋グループの作品が目立ちます。音羽グループ ( 講談社 ) の少女マンガが弱いため、一ツ橋グループ ( 小学館・集英社 ) の少女マンガが多数受賞しています。
  • 「評価作」の方で、手塚治虫羽海野チカ2作品受賞しています。

ダブル受賞したのは「宇宙兄弟」と「ハコヅメ」など

同時受賞のイメージ図 ( 2つ並んだ王冠 )

小学館漫画賞と講談社漫画賞、いずれも社名を冠した漫画賞ではありますが、いくらかは他社作も受賞していることが分かりました。そうなると次に気になるのは、両方受賞した作品は何かということ。

小学館漫画賞講談社漫画賞ダブル受賞したのは次の作品です。

評価作 ( 同時受賞あり ) 小学館漫画賞講談社漫画賞
宇宙兄弟 ( 講談社 ) 第56回 一般向け部門 ( 2010年 ) 第35回 一般部門 ( 2011年 )
ハコヅメ~交番女子の逆襲~ ( 講談社 ) 第66回 一般向け部門 ( 2020年 ) 第46回 一般部門 ( 2022年 )
スキマ作 ( 同時受賞なし ) 小学館漫画賞講談社漫画賞
ミルモでポン! ( 小学館 ) 第49回 児童向け部門 ( 2003年 ) 第27回 児童部門 ( 2003年 )
イナズマイレブン ( 小学館 ) 第57回 児童向け部門 ( 2011年 ) 第38回 児童部門 ( 2010年 )
妖怪ウォッチ ( 小学館 ) 第60回 児童向け部門 ( 2014年 ) 第38回 児童部門 ( 2014年 )
ダイヤのA ( 講談社 ) 第53回 少年向け部門 ( 2007年 ) 第34回 少年部門 ( 2010年 )
俺物語!! ( 集英社 ) 第61回 少女向け部門 ( 2015年 ) 第37回 少女部門 ( 2013年 )
20世紀少年 ( 小学館 ) 第48回 青年一般部門 ( 2002年 ) 第25回 一般部門 ( 2001年 )

小学館漫画賞を受賞した他社作が18作品 講談社漫画賞を受賞した他社作が29作品というのを考えると、両方受賞した作品が8作品のみというのは案外少なく感じます。

その中でも宇宙兄弟ハコヅメはともに講談社作品でありながら小学館漫画賞を受賞し、その翌年・翌々年にはしっかり講談社漫画賞の方も受賞しました。

この2作品が小学館漫画賞を受賞した年は、別の小学館作品も同時受賞しています。小学館作品が不作な年に受賞するよりも難易度が高く、快挙を果たしたと言えそうです。

もう一つ特筆したいのはレベルファイブの強さです。イナズマイレブン・妖怪ウォッチIPとしての強さを感じます。

最後に

小学館漫画賞と講談社漫画賞、それぞれ整理してみたところ興味深い考察ができました。

今後も宇宙兄弟・ハコヅメに続くダブル受賞作が現れることを期待します。

以上です!

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